更新日：2021.5.26

コロナ禍によってお孫さんなどご家族と過ごす時間が増えたからでしょうか。ここ最近、入れ歯に関するお悩みを耳にすることが増えたように感じます。
そこで今回は入れ歯についてお話ししていこうかと思いますが、まずはなぜ入れ歯に頼らざるを得なくなるのかというところから考えていきましょう。

なぜ歳を重ねると虫歯になりやすいのか

入れ歯を装着する方の多くは年配者です。人間は歳を重ねると唾液の分泌量が減って、口内の自浄作用が低下します。若い頃よりも歯自体が弱くなり、そして歯茎が下がるなど、虫歯になりやすい要因が増えているところに自浄作用が弱まることで虫歯ができやすくなってしまう。結果、自分の歯では生活が難しくなり、入れ歯を選択することになるというのがおおよその流れとなります。

では虫歯にならないために、入れ歯のお世話にならないためにはどうすべきか。
もうこれは一にも二にも毎日のケアが一番大切です。ものすごく当たり前のことを言うようで気が引けるのですが、規則正しい生活を送ること、３食しっかり摂ること、そして睡眠、適度な運動。日々の歯のケア。
当たり前のことなんですけど、結局これがいちばん効くんです。
そのうえで、口内の自浄作用を上げていくことが大切なポイントとなります。

自浄作用を上げるために下記を実践すると良いとされています。

・水分補給をしっかりすること。
・食べるときは、ゆっくりしっかり時間をかけて噛むこと。
・口内が乾燥する口呼吸ではなく、鼻呼吸を意識すること。
・ストレスを減らすこと。

降圧剤など薬の影響で唾液が減ることもありますので、その場合は唾液腺をマッサージしてみましょう。耳下腺といって耳たぶの下あたりから頬の下あたりを指でゆっくりマッサージすると良いでしょう。
また口内に潤いを与える効果がある保湿成分が入っているマウスウォッシュを使用するのもオススメです。

もし入れ歯を装着することになったら

それでも入れ歯を装着することになった場合、多くの患者さんが気にされるのは今まで通りの食事ができるのかどうか、そして入れ歯特有の臭いについて。
ただ、ご安心下さい。
これについては日頃のケア次第ですからまったく気にすることはありません。

まず日々の食事についてですが、入れ歯になったからといって特に変える必要はありません。
むしろ柔らかいものばかりを食べるようになりがちなので、今まで通り堅いものもしっかり摂るようにしていただきたいくらいです。
堅いものを食べるとき、入れ歯の損傷を気にする患者さんもいますが、左右均等に噛むことと、ゆっくり時間をかけて噛むことを意識すればまったく問題ありません。
むしろ咀嚼力も鍛えられて一石二鳥でしょう。
ただ、入れ歯が当たって痛い時には無理に噛まないこと。すぐにかかりつけの歯科医にご相談ください。削って調整することができますし、どうしても合わなければ作り替えることもできます。
また、保険適用外ですが、金具がないタイプにすることもできます。ほかの人に気づかれたくない場合なども、お気軽にご相談下さい。

そして臭いについて。
まず食べたらすぐに入れ歯を外して磨くことが大切です。着けたままではなく、必ず外した状態で磨くようにしてください。つけたままだと入れ歯に食べかすなどが付いている場合、自分の歯も虫歯になってしまいます。
外出先で磨くことができないようでしたら、水かお茶を飲むようにしてください。
それともうひとつ大切なのは就寝時のケアです。
就寝時は必ず入れ歯を外すこと。
入れ歯のつけっぱなしは、言ってみれば靴を履きっぱなしなのと同じことです。自分の歯茎や粘膜を休めるためにも就寝時は入れ歯を取ることが必要なのです。むくみも解消します。
そして外した入れ歯は、薬剤（ポリデントなど市販のものでOKです）や水に入れて保湿しておくこと。薬剤がない場合は水道水で十分です。消毒のつもりでお湯やアルコールに浸けるとかえって入れ歯を痛めることになってしまいますので、注意して下さい。

当たり前のことを繰り返すようで恐縮ですが、歯にとって、そしてそれは入れ歯でも変わらず、日々のケアというのは本当に大切なことなのです。
ご自宅で過ごすことが増えた今、改めて歯のことを意識する時間をつくってみてはいかがでしょうか。

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