院長の気になる話
日々のお口のケアがコロナに効く!?
更新日:2020.7.1
口腔ケアがウィルス予防に
2020年、世界は新型コロナウイルスの脅威に晒され、6月末時点の感染者数は1,000万人を超え、50万以上の方が亡くなっています。日本でも2万人近くの方の感染が確認され、1000人近くの方が命を落としました。
この恐ろしい未知のウイルスに口腔ケアが効くというのはご存知でしょうか。
インフルエンザを予防するために歯磨きや口腔ケアに努めることが重要だという研究結果がすでに出ていまして、これと同じ原理で新型コロナウイルスにも有効なのです。
専門的な話になりますので詳しくは省きますが、
・口腔ケアを怠る
↓
・口腔内にプラーク(歯垢)が付着しやすくなる
↓
・プラークに含まれる歯周病菌(インフルエンザ菌のほか、肺炎球菌や重篤な感染症の原因となる黄色ブドウ球菌、緑膿菌、セラチア菌も含まれていることがあります)がプロテアーゼと呼ばれる酵素を排出し口の中や気道の粘膜を傷つける
↓
・その傷からウイルスが体内に侵入しやすくなる
という原理となります。
口腔ケアはお口だけでなく、体の健康を保つために非常に重要な役割を担っているのです。
歯周病は大病のもと
インフルエンザや新型コロナだけではありません。
歯周病菌が血管に入り血流に乗って全身に広がることで、心臓などの大切な臓器に悪さをしてしまいます。その結果、たとえば心内膜炎などの心疾患、脳梗塞、肺炎などを起こしやすくなることも報告されていますし、妊婦の方でしたら早産のリスクが高まることもあります。
これら疾患のリスクがある方、妊婦の方は特に、かかりつけの歯科医に歯周病の発症の有無、治療についてご相談ください。
ではどうすれば歯周病に気付くことができるのでしょうか。
特に初期段階では痛みを伴うことはありませんので、日々のケアのなかで気になるところをチェックしておく必要があります。
チェックポイントは、歯茎からの出血、口臭が強くなる、歯が揺れるようになるという3点。こういった症状が見られた場合は、すぐに歯科医に診てもらってください。
歯周病菌は常在菌として誰もが持っているので、ケア不足だけではなく、生活習慣の悪化(飲酒、喫煙、ストレス、睡眠不足など)や、疲れなどによって免疫力が低下した際に悪さを始めます。
誰もがかかるリスクのある病気で、しかも大病に繋がるリスクがある。これほど恐ろしいことはありません。
上記症状を自覚した際は、どんなに軽い症状でも構いませんので、早めの治療をお勧めします。
歯周病を発症させないために
歯周病を発症させないためには、なんといっても日々のケア。
具体的には毎食後の歯磨きですが、ここで大切なのは歯茎を傷つけないようにやさしく丁寧に磨くこと。食事のあと、唾液のpH(ペーハー)が落ち着く20~30分後に磨くのが理想的です。歯間ブラシやデンタルフロス、デンタルリンスも効果があります。
市販のマウスウォッシュ製品も補助的なものとして効果はありますが、これに頼るのではなく、やはり日々の丁寧な歯磨きを心がけていただければと思います。
これからの季節、冷たいものの飲み過ぎ、食べ過ぎ、夏バテによる免疫力の低下など、歯周病の原因となるものが増えてきます。
「歯周病は大病のもと」
これを忘れずに、日々の丁寧なケアを行ってください。
そして、ちょっとでも症状が見られたら、すぐにかかりつけの歯科医にご相談ください。
以前に歯周病について取り上げています→
歯を失う原因の第1位?「歯周病」