更新日：2019.9.13

差し歯のメリットとは？

前回の「ちょっといい話」ではインプラントについてお話ししましたが、今回のテーマは差し歯。インプラントと同じように、ご質問の多い治療法です。
この時期は夏休みではしゃいでしまったのでしょうか（笑）、わりと小さなお子様の差し歯についてのご質問もいただきますので、そのあたりも踏まえて差し歯治療についてお話し致します。

差し歯治療というのは、患者さんご自身の歯の外形部分を削り、その上に削った厚みぶんの人工の歯を被せる治療法です。神経を取った歯については、歯根の上に土台（人工の歯を被せるための柱を立てるイメージです）をつくり、その上に人工の歯を被せることになります。つまり、元の歯がないと差し歯治療をすることはできません。

ただ、もともと自分の歯を削り、人工の歯を被せるだけなので、異物感がほとんどなく、自分の歯のようにしっかりと噛むことができます。また入れ歯よりもケアに神経質になる必要もありません。さらにインプラント治療と違い、差し歯治療は保険適用となりますので、１本あたり5,000〜10,000円程度で治療が可能です。このあたりは差し歯治療のメリットと言えそうです。

差し歯治療が必要な歯とは？

ではどんな場合に差し歯治療が必要となるのかと言いますと、ひとつめは虫歯が大きくなってしまって、歯の全体を大きく削る必要がある場合。ふたつめは歯の神経を取ってしまい土台をたてなければならない場合。このふたつが主な理由となります。あとは「ブリッジ」という治療法（「ブリッジ」は、歯がないところの両隣の歯を削って、それを土台にして一体型の人工歯を支える治療法。連結タイプの差し歯のようなもの）を取る場合ですね。

治療は大体２〜３回の通院で終わりますし、基本的にどの歯でも治療は可能。幼稚園児さんのような小さなお子様でも治療することができます。小さいお子様は転んでしまったり、ぶつかってしまったりすることが多く、簡単に乳歯が折れてしまうことがあります。折れた歯の状況によりますが、かかりつけの歯科医にご相談のうえ差し歯治療を行えれば、お子様の負担も減らせるのではないかと思います。
なお、小さなお子様で差し歯治療を行なった場合、成長とともに歯や歯を支える骨も成長していきます。それに合わせて差し歯を変えていく必要がありますので、ご留意ください。

また、最近では入れ歯よりもケアが簡単な差し歯を希望される年配の方も増えてきました。差し歯治療は年齢にかかわらず行えますが、先ほどもお話しした通り、差し歯はもともとの歯がないと治療を行えません。歯がなくなっている場合は入れ歯もしくはインプラントを選択していくただくことになるでしょう。歯がある場合でも揺れが大きい場合はもとの歯を抜いて入れ歯を選択する可能性があります。治療の前に歯科医師と相談なさってください。

治療可能かどうかという点では、年齢のほかにこういったケースもあります。たとえば歯周病にかかっている場合。歯周病でも治療は可能ですが、加齢のケースと同様に、歯の揺れが大きい場合は治療が難しいこともあります。また、すでに差し歯を入れているが、何度か脱落してしまっているような場合も一度医師にご相談ください。噛み合わせのバランスや歯並びによっては再度の差し歯治療が難しい場合もありますが、ご自身の歯の状況に合わせた治療法をご提示させていただきます。

差し歯に特別なケアは必要？

違和感なくものを噛めるなど非常にメリットの大きい差し歯治療ですが、差し歯にするとご自身の歯のときより多少食べかすが溜まりやすくなります。通常の歯磨きに加え、デンタルフロスや歯間ブラシの併用をオススメします。とはいえ、毎日の歯のケアの意識を持っていただければ、それで十分、特別になにかしなければならないことはありません。日々の丁寧なケア、これが一番です。

ただ、治療をしてから長年経つと差し歯が黄ばんでくることがあります。その場合は歯医者さんで歯の表面を研磨してもらえますし、仮にそれでも改善しなければ作り直すこともできます。黄ばみ、ほかの歯との色の違いが気になるようでしたら、お気軽にご相談ください。

また、保険適用外になりますが、セラミック素材の差し歯もございます。こちらは通常の素材よりもかなり黄ばみにくくなっていまし、見た目がより本物の歯に近く、美しく仕上がります。

さて、前回、今回と２回にわたって人工の歯（インプラント、差し歯）についてお話ししてきました。医療技術の発達により、本物の歯とあまり変わらない、治療後に違和感のない人工歯もあります。
ただ、それでもひとりの歯科医師として願うのは、皆様の歯の健康。普段からご自身の歯を大切にケアし、定期的な検診、治療を心がけてください。

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